彼らは「やる気」がないわけではない
「入社して3ヶ月。少し注意したら、翌日から来なくなってしまった」 「『見て覚えろ』と言っても、棒立ちで動かない」
高卒採用を行う多くの現場から、こうした悲鳴にも似た相談をいただきます。 いわゆる「七五三現象(高卒就職者の約4割が3年以内に離職する)」は、企業にとって採用コストの損失だけでなく、現場の士気を下げる深刻な問題です。
多くのベテラン社員はこう思います。「最近の若者は根性がない」「ゆとり世代だから」と。しかし、私たちトモニコが学校現場で彼らと接していて感じるのは、彼らは決して「やる気がない」わけではないということです。
ただ、「仕事の進め方のOS(オペレーティングシステム)」が、昭和・平成のビジネスモデルとは少し異なっているだけなのです。
今回は、彼らのOSを理解し、即戦力として動いてもらうための「3つの翻訳ガイド(コミュニケーション術)」をご紹介します。
Hint 1. 「背中を見せる」のではなく「動画を見せる」
【Before:現場の悩み】
「俺の作業を見て盗め」と言っても、彼らはどこを見ればいいか分かりません。メモを取るふりをして、頭の中は真っ白です。結果、「見ていただけ」になり、怒られることになります。
【After:トモニコ流の翻訳】
彼らは生まれた時からYouTubeやTikTokがある「動画ネイティブ」です。文字のマニュアルや口頭説明よりも、「1分の動画」の方が圧倒的に早く、正確に伝わります。
- アクション: 作業手順をスマホで撮影し、「これを見ておいて」と渡す。
- 効果: 彼らにとって動画は「何度も見返せる安心材料」です。 「サボらず勉強しろ」と言うよりも、「スマホで確認していいよ」と伝える方が、彼らは合理的に仕事を覚えます。これは「甘やかし」ではなく、ツールを使った「効率化」です。
Hint 2. 「とりあえずやってみて」は禁句。「60点でいい」と伝える
【Before:現場の悩み】
「失敗してもいいから、とりあえずやってみな」と任せると、彼らはフリーズします。なぜなら、学校教育で「正解以外のことをすると減点される」というルールで生きてきたからです。彼らにとって「とりあえずやる」は恐怖でしかありません。
【After:トモニコ流の翻訳】
彼らが動けないのは、能力が低いからではなく、「ゴールの基準」が曖昧だからです。心理的なハードルを具体的に下げてあげましょう。
- アクション:「完成しなくていい。60点の出来でいいから、まずは形にしてみて」と伝える。
- 効果:「満点じゃなくていいんだ」と分かった瞬間、彼らは驚くほど動き出します。 トモニコの探究学習でも、「正解はないから、まずは仮説(60点)を出そう」と指導します。この「あえて完成度を下げる指示」こそが、彼らの主体性を引き出すスイッチになります。
Hint 3. 人格を叱らず、「仕組み」を叱る
【Before:現場の悩み】
ミスをした時、「お前の気合いが足りないからだ」「学生気分が抜けていない」と叱っていませんか? 精神論で詰めると、彼らは「自分はダメな人間だ(=この会社に居場所はない)」と短絡的に考え、退職届を用意し始めます。
【After:トモニコ流の翻訳】
ミスが起きた時こそ、実は「探究(問題解決)」のチャンスです。 叱る対象を「彼らの人格(やる気)」にするのではなく、「プロセス(仕組み)」に変えてください。
- アクション: 「なぜミスが起きたと思う? 手順が悪かったかな? ツールが使いにくかったかな?」と問いかけ、一緒に犯人(原因)を探す。
- 効果: これを私たちは「課題の分離」と呼びます。 「上司は自分を攻撃しているのではなく、トラブルを解決しようとしているパートナーだ」と感じられれば、彼らは報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を恐れなくなります。
まとめ:彼らは「指示待ち」ではなく「翻訳待ち」
高卒新人は、まだビジネスの言語を知らない「異文化からの留学生」のようなものです。 彼らが現場で活躍できないのは、能力の問題ではなく、単なる「言葉の壁(伝え方のズレ)」が原因かもしれません。
- 動画で見せる(合理性)
- 60点でいいと伝える(心理的安全性)
- 仕組みを疑う(課題解決思考)
この3つの翻訳を行うだけで、彼らは「言われたことしかできない新人」から、「自ら考えて動く若手社員」へと化けます。
私たちトモニコは、学校現場でまさにこの「翻訳作業」=「探究学習」を行っています。 入社してから会社が教えるコストを払う前に、高校時代から「社会のOS」をインストールしておく。 それが、私たちが企業様と一緒に目指している「新しい高卒採用のカタチ」です。
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